はじめに
「親が借金を残して亡くなった」「空き家を相続したくない」——そんなときに検討されるのが「相続放棄」です。
相続放棄は、家庭裁判所での申述によって、相続人としての権利・義務をすべて放棄する制度。今回は、相続放棄の方法と期限、注意点について解説します。
① 相続放棄とは?
- 相続人が、被相続人の財産(プラスもマイナスも)を一切受け継がない制度
- 民法第938条に基づき、家庭裁判所への申述が必要
- 放棄すると、最初から相続人でなかったことになる
② 相続放棄の申述方法と期限
| 項目 | 内容 |
| 申述先 | 被相続人の最後の住所地を管轄する家庭裁判所 |
| 申述期限 | 相続開始を知った日から3ヶ月以内 |
| 申述方法 | 書面提出(郵送または窓口) |
| 必要書類 | 相続放棄申述書、戸籍謄本、被相続人の除籍謄本、収入印紙800円、郵便切手 |
③ よくある注意点と誤解
誤解①:「放棄すればすぐに終わる」
→家庭裁判所での審査があり、受理通知が届くまで正式には完了しない
誤解②:「口頭で伝えれば放棄できる」
→必ず書面で申述し、裁判所の受理が必要
注意点
- 放棄後は撤回不可(原則)
- 放棄すると、次順位の相続人(兄弟姉妹など)に相続権が移る
- 相続財産に手をつけると「単純承認」とみなされ、放棄できなくなる可能性あり
まとめ
- 相続放棄は、借金や不要な財産を引き継がないための制度
- 家庭裁判所への申述が必要で、期限は相続開始から3ヶ月以内
- 放棄後は撤回できず、次順位の相続人に影響が及ぶため、慎重な判断が必要
- 行政書士は、戸籍収集や書類作成のサポートが可能(申述は本人または弁護士)
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次回は「預貯金の相続手続き|金融機関での名義変更と必要書類」を解説します。口座凍結を解除するための実務と、相続人間の調整ポイントを紹介します。
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