はじめに
契約は「結ぶとき」だけでなく、「終わらせるとき」も重要です。
どんなに内容が良い契約でも、事情が変われば「やめたい」「終了したい」という場面が必ず訪れます。
しかし、解除のルールを決めていないと、トラブルや損害賠償の原因にもなります。
今回は、契約を終了させる方法と注意すべきポイントを整理して解説します。
目次
1.契約終了の3つのパターン
契約を終わらせる方法は、大きく分けて次の3種類です。
| 種類 | 内容 | 典型例 |
| 合意による終了 | 当事者が話し合いのうえで契約を終わらせる | 「もう取引をやめましょう」と双方合意 |
| 契約期間の満了 | 期限が到来して自動的に終了 | 1年契約が満期を迎えた |
| 契約解除 | 一方が相手に対して契約を打ち切る意思を表明 | 相手の不履行・トラブル・倒産など |
このうち最も慎重を要するのが③の契約解除です。
2.契約解除の種類
契約解除には「法定解除」と「約定解除」の2種類があります。
(1)法定解除(民法上の解除)
法律の定めに基づき解除できる場合。
代表的なのが「債務不履行解除」です。
例:
相手が契約どおりの仕事をしない、代金を支払わないなど。
この場合、一定の催告(履行を求める通知)を行った上で解除が可能です。
根拠条文:民法541条(催告による解除)→e-GOV法令検索へ
(2)約定解除(契約書で定める解除)
契約書の中で、「どんなときに解除できるか」をあらかじめ決めておく方式です。
例文:
甲または乙が次のいずれかに該当した場合、相手方は何らの催告を要せずして本契約を解除することができる。
(1)契約条項に違反したとき
(2)支払停止または破産申立てがあったとき
このような条項を設けることで、迅速に契約関係を整理できます。
3.契約解除の手続きと注意点
(1)解除の通知方法
契約解除は、必ず相手に通知して初めて効力が発生します。
口頭ではなく、書面または内容証明郵便で行うのが安全です。
内容証明郵便については以前の記事をご覧ください。
例:
「本契約を令和7年3月31日付で解除します」と明確に記載。
(2)損害賠償との関係
相手の契約違反を理由に解除した場合でも、解除だけで損害が消えるわけではありません。
損害が発生している場合は、別途「損害賠償請求」も可能です。
(3)一方的解除のリスク
- 理由なく解除した場合は「債務不履行」とみなされるおそれ
- 契約書に解除事由を明記していないと、解除が無効になる場合も
→契約書の段階で「解除できる条件」を必ず明記しておきましょう。
4.行政書士からのアドバイス
契約解除トラブルの多くは、契約書に解除条項がないことが原因です。
たとえば、「支払遅延が3回続いた場合」「業務内容に重大な違反があった場合」など、具体的な条件を定めておくと安心です。
行政書士としては、次のような点を常に確認します。
- 解除条項が具体的か
- 通知方法(書面・電子)を明記しているか
- 損害賠償条項と整合しているか
契約解除は「争いの始まり」になりやすい部分。
だからこそ、契約締結時に最悪のケースを想定しておくことが大切です。
まとめ
・契約終了には「合意」「期間満了」「解除」の3パターンがある
・契約解除は「法定解除」と「約定解除」に分かれる
・書面で明確に通知し、解除事由を事前に契約書で定めておくことが重要
次回予告
契約書作成に関するこれまでの記事はこちらをご覧ください。
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次回は 「売買契約書の基本とは?必要な条項と作成時の注意点」 をテーマに、
実際の契約類型の中でも最も基本的な「売買契約」を具体的に学びます。
