はじめに
フリーランス、外注化、副業解禁──
契約による業務委託が当たり前になった現代では、次のような誤解が非常に多く見られます。
- 「納品すれば請負になるの?」
- 「業務委託=請負ってこと?」
- 「成果物がない仕事は契約できない?」
ところが、請負と業務委託は同じものではありません。
契約書の内容を誤ると、責任範囲を巡ってトラブルになることも。
この記事では、両者の法的な位置づけと具体的な違いを、わかりやすく整理します。
目次
- 1.請負契約と業務委託契約はどう違う?
- 2.請負契約とは?(成果物契約)
- 3.委任(準委任)契約とは?(役務・作業契約)
- 4.もっとも誤解される点
- 5.契約書作成で必ず注意すべきポイント
- 6.よくある実務トラブルと回避策
- 7.行政書士としてのアドバイス
- まとめ
- 次回予告
1.請負契約と業務委託契約はどう違う?
まず大前提として、
業務委託契約は「広い概念」
請負契約は「その一類型」
です。
つまり、業務委託契約には
- 請負契約
- 委任契約(準委任契約)
が含まれます。
※民法上の契約名は「業務委託」ではなく「請負」「委任」が正しい用語
2.請負契約とは?(成果物契約)
請負契約は、民法632条に定義されています。
仕事の完成という成果物の引渡しを目的とする契約
代表例:
- Webサイト制作
- 建築工事
- ロゴ制作
- システム開発
- 動画編集
つまり、
✔ 成果物納品=義務
✔ 完成しないと報酬は発生しない
これが請負契約の最重要ポイントです。
● 主な特徴
- 完成責任がある
- 瑕疵担保責任が発生する
- 報酬請求は完成後
- 引渡し基準が必要(検収・納品条件を明記)
3.委任(準委任)契約とは?(役務・作業契約)
委任契約は、民法643条以下の契約です。
目的は「成果」ではなく
一定の行為または作業をする義務
代表例:
- コンサルティング
- 業務サポート
- 事務作業
- アドバイス・顧問契約
- 受付・電話代行業務
つまり、
✔ 行為の提供=義務
✔ 成果が出なくても報酬は発生する
ここが請負と大きく違います。
● 主な特徴
- 結果責任はない
- 善管注意義務(善良な管理者として注意義務)
- 成果が不明確な業務に向く
- 契約書は「役務提供型」の文言が必要
4.もっとも誤解される点
| 観点 | 請負契約 | 委任契約(準委任) |
| 契約目的 | 仕事の完成 | 作業・行為 |
| 報酬 | 完成後(成果基準) | 作業対価(時間・件数) |
| 不具合がある場合 | 修補義務あり | 不完全=債務不履行になる場合 |
| 契約期間 | 期間より成果重視 | 期間・作業の有無重視 |
| トラブル事例 | 納品物の品質争い | 成果への期待違い |
5.契約書作成で必ず注意すべきポイント
個人事業主や外注化を進める企業では、
契約書の内容が曖昧なまま締結されるケースがよくあります。
トラブルを防ぐには、次の条項を整理しておく必要があります。
請負契約で必須
- 成果物の範囲
- 納品基準・検収方法
- 修補義務と保証期間
- 著作権・納品物の権利帰属
- 完成時=報酬請求権発生
委任契約で必須
- 役務(作業)範囲
- 指示者・指揮命令関係の明確化
- 成果保証がないこと
- 業務の中止・解除の取扱い
- 時間単価・件数単価の設定
6.よくある実務トラブルと回避策
| よくある誤解 | 原因 | 防止策 |
| 納品物が気に入らないから支払わない | 契約が請負か委任か不明確 | 成果物の基準・契約類型を明確化 |
| 指示通りやっただけなのに損害賠償請求 | 責任範囲が曖昧 | 注意義務と範囲を明記 |
| 納品後の修正対応で揉める | 契約に修補条項なし | 無償・有償条件を規定 |
| 契約途中で辞めたい | 解約条項なし | 委任では解除可能/請負では調整が必要 |
7.行政書士としてのアドバイス
契約書に「業務委託契約」と書かれていても、
内容を読むと請負だった──という事例はよくあります。
契約名称ではなく
義務の内容(成果責任 or 行為責任)で判断すること
が重要です。
特に次の文言があれば請負契約の可能性が高まります
✔「完成するまで」
✔「納品後に報酬を払う」
✔「瑕疵担保」「検収」
逆に委任契約なら
✔「善管注意義務」
✔「業務内容を履行する」
と記載されることが多いです。
まとめ
- 業務委託契約=請負と委任の総称
- 請負契約は成果完成が義務
- 委任契約は行為提供が義務
- 責任範囲と報酬発生時期が大きく異なる
- 契約書名ではなく、義務の内容で判断する
契約類型を誤解すると、
「支払拒否」「損害請求」「契約解除」など深刻な紛争に発展します。
次回予告
契約書作成に関するこれまでの記事はこちらをご覧ください。
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次回は 「秘密保持契約(NDA)を締結する際の注意点」 を詳しく解説します。
最後までご覧いただきありがとうございます。
