はじめに
遺言書は「自分の最期の意思を伝えるための大切な書類」です。
しかし、遺言書に書けること・書けないことを正しく理解していないと、せっかく書いた内容が無効になったり、家族が混乱したりすることがあります。
この記事では、遺言書に書ける内容をわかりやすく整理します。
遺言書に書けること(法律で認められている内容)
遺言書に書ける内容は、民法で明確に決められています。
大きく分けると次の7つです。
1. 財産の分け方(遺産分割の指定)
● 誰に、どの財産を渡すか
- 不動産
- 預貯金
- 株式
- 車
- 貴金属
例:
「自宅の土地建物は長男に相続させる」
「○○銀行の預金300万円を長女に遺贈する」
2. 遺産分割方法の指定・禁止
● 分け方のルールを決められる
- 「長男と長女で2分の1ずつ」
- 「当面は遺産分割を禁止する(最長5年)」
3. 遺言執行者の指定
遺言の内容を実際に実行する人を指定できます。
例:
「遺言執行者を行政書士○○に指定する」
4. 相続人の廃除・取消し
著しい非行がある相続人を“相続させない”と指定できます。
ただし、家庭裁判所の審判が必要です。
5. 認知(子どもの認知)
婚外子を認知することができます。
遺言による認知は非常に強い効力があります。
6. 未成年後見人の指定
未成年の子がいる場合、親亡き後の後見人を指定できます。
7. 祭祀承継者の指定(お墓・仏壇の承継)
お墓・仏壇・位牌などを誰が引き継ぐかを決められます。
遺言書に書ける「付言事項」
法律上の効力はありませんが、家族へのメッセージとして非常に重要です。
● 例
- 家族への感謝
- なぜこの分け方にしたのか
- 相続人同士へのお願い
- 介護へのお礼
付言事項は争いを防ぐ“心のクッション”として大きな役割を果たします。
遺言書に書けないこと(書いても無効になる内容)
ここを間違えると、遺言書がトラブルの原因になります。
1. 法律に反する内容
● 例
- 「長男の遺留分をゼロにする」
- 「次男を勘当する」
- 「妻に全財産を渡すから、長女には一切渡すな」
→ 遺留分は法律で守られているため、侵害すると無効部分が発生します。
2. 相続人の自由を不当に縛る内容
● 例
- 「長男は必ず家を継ぎ、同居しなければならない」
- 「長女は結婚したら相続分を返すこと」
→ 個人の自由を侵害する内容は無効です。
3. 財産以外の“強制”にあたる内容
● 例
- 「毎年墓参りをしなければならない」
- 「仏壇を必ず守り続けること」
→ 強制力はありません。
ただし付言事項として“お願い”として書くのはOK。
4. 法律で認められていない事項の決定
● 例
- 親族関係の変更(離縁・養子縁組の解消など)
- 財産以外の契約の強制
- 会社の役職の指定
→ 遺言で決められる範囲は“民法で定められた事項のみ”です。
事例で理解する「書けること・書けないこと」
事例①:遺留分を無視した遺言でトラブルに
父が「全財産を長男に相続させる」と遺言。
→ 長女が遺留分侵害額請求を行い、結局争いに発展。
ポイント:
遺留分を無視した遺言は、争いの火種になります。
事例②:付言事項で争いを防げたケース
母が遺言に
「介護をしてくれた長女に多めに渡します。長男には感謝しています」
と記載。
→ 長男が納得し、争いが起きなかった。
遺言書を書くときのポイント
- 財産の記載は具体的に
- 相続人の名前・続柄を正確に
- 遺留分を意識する
- 付言事項で思いを伝える
- 定期的に見直す(家族構成・財産の変化に対応)
行政書士がサポートできること
- 遺言文案の作成支援
- 財産リストの整理
- 公正証書遺言の作成サポート
- 相続人間のトラブルを防ぐためのアドバイス
まとめ
- 遺言書に書ける内容は法律で決まっている
- 書けない内容を書くと無効や争いの原因に
- 付言事項は争いを防ぐ“心のメッセージ”として重要
- 正しい形式で書くことで、遺言は最大の効果を発揮する
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