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お役立ち情報 契約書作成

第13回 請負契約と業務委託契約を正しく理解しよう

はじめに

フリーランス、外注化、副業解禁──
契約による業務委託が当たり前になった現代では、次のような誤解が非常に多く見られます。

  • 「納品すれば請負になるの?」
  • 「業務委託=請負ってこと?」
  • 「成果物がない仕事は契約できない?」

ところが、請負と業務委託は同じものではありません。
契約書の内容を誤ると、責任範囲を巡ってトラブルになることも。

この記事では、両者の法的な位置づけと具体的な違いを、わかりやすく整理します。

目次

1.請負契約と業務委託契約はどう違う?

まず大前提として、

業務委託契約は「広い概念」
請負契約は「その一類型」

です。

つまり、業務委託契約には

  • 請負契約
  • 委任契約(準委任契約)

が含まれます。

※民法上の契約名は「業務委託」ではなく「請負」「委任」が正しい用語

2.請負契約とは?(成果物契約)

請負契約は、民法632条に定義されています。

仕事の完成という成果物の引渡しを目的とする契約

代表例:

  • Webサイト制作
  • 建築工事
  • ロゴ制作
  • システム開発
  • 動画編集

つまり、

✔ 成果物納品=義務

✔ 完成しないと報酬は発生しない

これが請負契約の最重要ポイントです。

● 主な特徴

  • 完成責任がある
  • 瑕疵担保責任が発生する
  • 報酬請求は完成後
  • 引渡し基準が必要(検収・納品条件を明記)

3.委任(準委任)契約とは?(役務・作業契約)

委任契約は、民法643条以下の契約です。

目的は「成果」ではなく

一定の行為または作業をする義務

代表例:

  • コンサルティング
  • 業務サポート
  • 事務作業
  • アドバイス・顧問契約
  • 受付・電話代行業務

つまり、

✔ 行為の提供=義務

✔ 成果が出なくても報酬は発生する

ここが請負と大きく違います。

● 主な特徴

  • 結果責任はない
  • 善管注意義務(善良な管理者として注意義務)
  • 成果が不明確な業務に向く
  • 契約書は「役務提供型」の文言が必要

4.もっとも誤解される点

観点請負契約委任契約(準委任)
契約目的仕事の完成作業・行為
報酬完成後(成果基準)作業対価(時間・件数)
不具合がある場合修補義務あり不完全=債務不履行になる場合
契約期間期間より成果重視期間・作業の有無重視
トラブル事例納品物の品質争い成果への期待違い

5.契約書作成で必ず注意すべきポイント

個人事業主や外注化を進める企業では、
契約書の内容が曖昧なまま締結されるケースがよくあります。

トラブルを防ぐには、次の条項を整理しておく必要があります。

請負契約で必須

  • 成果物の範囲
  • 納品基準・検収方法
  • 修補義務と保証期間
  • 著作権・納品物の権利帰属
  • 完成時=報酬請求権発生

委任契約で必須

  • 役務(作業)範囲
  • 指示者・指揮命令関係の明確化
  • 成果保証がないこと
  • 業務の中止・解除の取扱い
  • 時間単価・件数単価の設定

6.よくある実務トラブルと回避策

よくある誤解原因防止策
納品物が気に入らないから支払わない契約が請負か委任か不明確成果物の基準・契約類型を明確化
指示通りやっただけなのに損害賠償請求責任範囲が曖昧注意義務と範囲を明記
納品後の修正対応で揉める契約に修補条項なし無償・有償条件を規定
契約途中で辞めたい解約条項なし委任では解除可能/請負では調整が必要

7.行政書士としてのアドバイス

契約書に「業務委託契約」と書かれていても、
内容を読むと請負だった──という事例はよくあります。

契約名称ではなく
義務の内容(成果責任 or 行為責任)で判断すること
が重要です。

特に次の文言があれば請負契約の可能性が高まります

✔「完成するまで」
✔「納品後に報酬を払う」
✔「瑕疵担保」「検収」

逆に委任契約なら

✔「善管注意義務」
✔「業務内容を履行する」

と記載されることが多いです。

まとめ

  • 業務委託契約=請負と委任の総称
  • 請負契約は成果完成が義務
  • 委任契約は行為提供が義務
  • 責任範囲と報酬発生時期が大きく異なる
  • 契約書名ではなく、義務の内容で判断する

契約類型を誤解すると、
「支払拒否」「損害請求」「契約解除」など深刻な紛争に発展します。

次回予告

契約書作成に関するこれまでの記事はこちらをご覧ください。

契約書に関するご相談はこちらからどうぞ。

次回は 「秘密保持契約(NDA)を締結する際の注意点」 を詳しく解説します。

最後までご覧いただきありがとうございます。