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お役立ち情報 契約書作成

第14回 秘密保持契約(NDA)を締結する際の注意点

はじめに

業務委託や共同開発、M&Aの検討、採用面接や取引打合せなど、
ビジネスの現場で頻繁に登場するのが 秘密保持契約(NDA:Non-Disclosure Agreement) です。

  • NDAを結んだから安心
  • 雛形でいいですよね?
  • 守秘義務は当たり前なので簡単でいい

…実はそうではありません。

NDAの内容次第で「守れる情報」の範囲は大きく変わります。
この記事では、秘密保持契約を締結する際に必ず確認すべきポイントを、わかりやすく整理して解説します。

目次

そもそも秘密保持契約(NDA)とは?

秘密保持契約とは、

取引や業務に関連して知り得た情報を
無断で漏らしたり、目的外で利用したりしないことを約束する契約

のことです。

NDAが使われる典型場面

  • 新規取引の打合せ
  • システム開発の外注
  • 共同研究・共同開発
  • M&Aの事前調査(デューデリジェンス)
  • フリーランスとの業務委託
  • 採用・面接での情報提供

つまり、

まだ契約に至っていない段階でも重要な情報を共有する必要がある

そんな場面で活用されます。

NDAで最も重要なのは「何が秘密か」を定義すること

秘密保持契約で最初に確認すべきなのは、

✔ 秘密情報の範囲

です。

悪い例

「業務上知り得た一切の情報」

これでは広すぎて、何が秘密か当事者が把握できません。

良い例

● 技術情報
● 顧客情報
● 価格情報
● 事業計画
● 非公開のノウハウ
などで「書面または電子データで開示されたもの」

さらに望ましい形

秘密情報は「秘密である旨を付したもの」に限る

→つまり「秘密」と書かれた資料・メール等のみ
→不要な情報を秘密扱いされるリスクを減らせる

秘密情報に「含まれないもの」を明確にする

NDAでは、実は次が超重要です。

✔ 例外情報(=秘密扱いしないもの)

一般的には次のものは除外されます。

  • 公知の情報(すでに知られている情報)
  • 受領前から既に知っていた情報
  • 公開された後に知った情報
  • 正当な手段で第三者から入手した情報
  • 自ら独自に開発した情報

→例外条項がないと、「何でも秘密」にされ不利になります。

利用目的を限定する(目的外利用禁止)

NDAの目的は、

情報漏洩を防ぐこと+「勝手に利用されること」を防ぐこと

です。

秘密情報は、A社とB社のシステム共同開発検討の目的のみに使用するものとする。

これがないと、

  • アイデアだけ盗まれる
  • 別会社と同様の企画をされる
  • 顧客リストを営業に使われる

といった被害が起こる可能性があります。

開示方法と管理方法も決めておく

開示方法の例

  • 書面
  • 電子データ
  • 口頭

特に口頭開示は証拠が残りにくく、

「言った言わない問題」

の原因となります。

→ 口頭開示情報は
一定期間内に書面で確認すること
という条文を入れるのが実務的です。

情報の取り扱い方法(管理義務)

最低限、次は契約書に入れるべきです。

  • 情報の複製禁止
  • 第三者提供の禁止
  • 社内共有範囲の制限
  • パスワード管理義務
  • 紛失時の報告義務

特にIT取引では、

USB保存禁止
個人PC持ち帰り禁止

などの条項も検討されます。

契約期間・秘密保持義務の存続期間

NDAでは、

  • 契約期間
  • 秘密保持義務の存続期間

は必ず確認しましょう。

典型例

契約期間は1年間
ただし、秘密保持義務は契約終了後も3年間存続する

→ 終了したら守秘義務も終了では意味がありません
→ 技術情報やノウハウは長期間秘密にしたいケースが多い

契約違反時の損害賠償・差止め

NDAは

破ったらどうなるか

までセットで考える必要があります。

よくある条文

  • 損害賠償請求できる
  • 弁護士費用も請求できる
  • 差止請求ができる
  • 逸失利益も賠償対象にする

実務では特に

差止請求(情報の利用をやめさせる)

が重要です。

双方型か片務型かにも注意

NDAには2種類あります。

✔ 双方型(相互NDA)

双方が秘密を開示する場合

✔ 片務型(片側NDA)

一方が提供、一方が受領する場合

→ ベンチャー・受託側は
片務契約を求められがちなので要注意

双務・片務契約についてはこちらの記事をご覧ください。

行政書士からのアドバイス(実務の現場感)

次の言葉には注意してください。

「ひな形があるのでこれでサインしてください」

雛形は
✔ 相手に有利に作られている可能性が高いです。

特に要チェックなのはこの3つ。

  • 秘密の範囲が広すぎないか
  • 損害賠償の責任が重すぎないか
  • 禁止事項が実務的に守れる内容か

NDAは短い契約書ですが、法的効果は非常に重い契約です。

トラブルになりそうな場合は、お早めにお知り合いの弁護士や法テラスへの
ご相談をお勧めします。

まとめ

  • NDAは重要情報の持ち出し・流用を防ぐ契約
  • 秘密情報の「範囲」と「例外」を定義するのが最重要
  • 目的外利用禁止は必須
  • 存続期間・損害賠償条項も確認必須
  • 雛形だからといって安心しない

次回予告

契約書作成に関するこれまでの記事はこちらをご覧ください。

契約書に関するご相談はこちらからどうぞ。

次回は、「競業避止義務契約の注意点|どこまで制限できるのか」
について解説する予定です。

最後までご覧いただきありがとうございます。