目次
1.長く一緒に暮らしていても、相続では注意が必要です
「入籍はしていないけれど、何十年も一緒に暮らしている」
「周りからは夫婦として見られている」
「お互いに支え合って生活してきた」
このような内縁関係、いわゆる事実婚のパートナーがいる方は、今では珍しくありません。
ただ、相続の場面では、ここに大きな注意点があります。
それは、内縁のパートナーには、原則として法律上の相続権がないということです。
法律上の配偶者は常に相続人になりますが、婚姻届を出していない内縁のパートナーは、民法上の「配偶者」として扱われないため、相続人にはなれないとされています。
2.問題は「家族同然だから大丈夫」と思ってしまうことです
内縁関係で特に怖いのは、本人たちが
「もう夫婦みたいなものだから大丈夫」
と思っているケースです。
たしかに、日常生活では夫婦と変わらないかもしれません。
一緒に住み、生活費を出し合い、病院の付き添いをし、介護をしてきた。
それでも、相続では「実際に婚姻届を出しているかどうか」が大きな分かれ目になります。
たとえば、内縁の夫が亡くなった場合、遺言書がなければ、財産は法律上の相続人に引き継がれます。
子どもがいれば子ども、子どもがいなければ親、親もいなければ兄弟姉妹が相続人になる流れです。
その結果、長年一緒に暮らしていた内縁の妻が、住んでいた家や預貯金について何も受け取れない、ということも起こり得ます。
※相続の基本については「政府広報オンライン」がわかりやすいです。
3.「自分が介護してきたのに」という思いが残ることもあります
相続のご相談で難しいのは、法律上の結論と、ご本人の気持ちが一致しないことです。
たとえば、内縁のパートナーが長年介護をしていた場合、
「自分がずっと支えてきたのに、相続では何も認められないのですか」
というお気持ちになるのは、とても自然なことです。
ただし、相続で一定の貢献を考慮する制度にも限界があります。
たとえば、相続人以外の親族が療養看護などで特別に貢献した場合に金銭請求ができる「特別寄与料」という制度がありますが、これは対象が原則として「親族」に限られます。内縁のパートナーは通常ここに含まれないため、この制度を使うことも難しいとされています。
ここが、内縁関係の相続でとてもつらいところです。
気持ちとしては家族でも、法律上の準備がないと守られにくいのです。
4.財産を残したいなら、生前の準備が大切です
では、内縁のパートナーに財産を残す方法はまったくないのでしょうか。
そんなことはありません。
代表的な方法は、遺言書を作成しておくことです。
遺言書で「この財産を内縁のパートナーに遺贈する」と定めておけば、相続人ではない方にも財産を渡せる可能性があります。
ただし、ここでも注意が必要です。
法定相続人に遺留分がある場合、遺言書の内容によっては、あとで相続人との間でトラブルになることがあります。
また、遺言書の書き方に不備があると、せっかくの意思が実現できないこともあります。
そのほか、生前贈与、生命保険の活用、任意後見契約、死後事務委任契約などを組み合わせて考えることもあります。
ただし、贈与税や相続税、遺留分、住まいの確保など、確認すべき点は多くあります。
5.住まいの問題は特に早めに考えておきたいところです
内縁関係で特に深刻になりやすいのが、住まいの問題です。
たとえば、内縁の夫名義の家に一緒に住んでいた場合、夫が亡くなったあと、その家を相続するのは法律上の相続人です。
相続人との関係が良ければ住み続けられる可能性もありますが、必ずしもそうとは限りません。
「今まで一緒に暮らしていたから当然住める」と思っていても、名義や権利関係が整理されていないと、相続発生後に不安定な立場になってしまうことがあります。
だからこそ、内縁関係では、預貯金や不動産をどう残すかだけでなく、
残されたパートナーがどこで暮らすのか
という視点も大切です。
6.まとめ|内縁関係の相続は「気持ち」だけでは守れません
内縁関係は、日常生活では夫婦と変わらないことも多いです。
でも、相続では法律上の配偶者とは扱いが大きく異なります。
大切なのは、
「長く一緒にいるから大丈夫」
「家族も分かってくれているはず」
と思い込まないことです。
内縁のパートナーに財産を残したい場合、または自分が残されたときの生活が不安な場合は、早めに状況を整理しておくことが大切です。
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